会社解散登記の流れについて

①株式会社の解散について

会社は設立登記をすることによって法人格を取得します。取得した会社の法人格は、会社を解散したからと言って、すぐに消滅するというわけにはいきません。会社が解散した後に、清算手続きをします。その清算手続きが終了することによって会社は消滅することになります。

会社の解散というのは、会社が営業活動を停止し、残債務及び資産の整理をすることをいいます。
株式会社の解散事由は、会社法(第471条)で以下のように定められています。

【株式会社の解散事由】
・定款で定めた存続期間の満了
・定款で定めた事由の発生
・株主総会の決議
・合併(合併によりその株式会社が消滅する場合に限る)
・破産手続開始の決定
・解散を命ずる裁判(会社の解散を命ずる判決・会社の解散の訴え)

実際に株式会社の解散がおこなわれるのは、株主総会の決議によるものがほとんどです。

また、会社法(第472条)では、「休眠会社のみなし解散」というものが定められていて、上記の解散事由に該当しない株式会社でも解散とみなされる場合があります。休眠会社というのは、最後に登記のあった日から12年を経過した株式会社のことをいいます。有限会社には、休眠会社の制度はありません。

株式会社の場合、少なくとも10年に1度は役員変更登記をする必要があります。そうであるにもかかわらず、12年間まったく登記が変更されることがない株式会社ということになりますから、事業活動を行っていないと判断されるわけです。

このような休眠会社に対し、法務大臣は、2か月以内に事業を廃止していない旨を届け出るよう官報で公告します。その公告から2か月経過してもなお登記・届出をしなかった場合に、解散したものとみなされることになります。登記官が職権により解散の登記をおこないます。

役員の変更がない場合に、役員変更登記を忘れてしまうことがよくあります。そのまま12年経過すると、解散したものとみなされてしまいますので注意が必要です。

②株式会社の解散と清算の手続き

会社を消滅させるためには、解散の手続きだけではなく、清算の手続きも必要になります。

1.解散
ほとんどの場合、解散は、株主総会の特別決議により決定されます。解散事由に該当する場合は、それによって解散することになります。そして、営業取引活動を停止することとなり、代表取締役や取締役はその地位を失い退任します。ですから、清算処理をおこなう「清算人」を選任しなくてはいけません。

清算人になるのは、定款で定めている人、株主総会で選ばれた人、清算が始まった時の取締役などですが、該当する人がいない場合は、裁判所が精算人を選任します。ほとんどの場合、解散を決議するための株主総会において清算人が選任されます。人数については規定はありません。

清算人や代表清算人の選任も登記する必要があるので、解散の登記と同時に登記されることがほとんどです。これにより、清算会社となります。

2.清算
解散登記と清算人登記が終わり会社が解散したことにより、清算人が清算処理をおこなっていくことになります。株式会社の清算には、「通常清算」と「特別清算」があります。特別清算は、債務超過の場合など通常の清算では不都合が考えられるような場合におこなわれます。

清算人には、会社財産の調査をおこない、財産目録・貸借対照表を作成します。株主総会を開き、調査結果などの報告をおこないます。

会社債権者に対し2か月以上で定める一定期間内に、債権があることを申し出るべき旨を「官報」に掲載して、公告する必要があります。申し出なかった債権者は清算から外されることになります。

清算処理が終わると、清算人は決算報告を作成します。株主総会において、この決算報告書が承認されると、清算結了の登記をすることになります。この清算結了の登記により商業登記簿から抹消され、会社は完全に消滅することになります。

③解散・清算登記の注意点

清算結了の登記は、解散の日から少なくとも2か月経過している必要があります。解散の日から少なくとも2か月経過していない段階で清算結了の登記を申請しても却下されてしまいます。会社を清算したい期日が決まっているのでしたら、この「少なくとも2か月」という点を考慮しておかなければいけません。

休眠会社がみなし解散をされた場合、解散したものとみなされた後3年以内であれば、「継続」という登記をおこなうことにより、営業活動を再度おこなうことができるようになります。これは、清算会社も同じような規定があり、清算が結了するまでの間ならば、継続の登記をおこなうことで再度営業活動をおこなうことができます。

解散・清算は、会社を消滅させる手続きです。会社は設立後、その会社を取り巻く取引先や顧客などさまざまな関わりを持ちながら営業をおこないます。会社が消滅することにより、債権者などの利害関係人との適切な調整が求められるので、法律により厳格に手続きが定められています。

また、会社が債務超過ということであるならば、通常の解散や清算手続きということではなく、破産手続をおこなわなければいけないこともあるでしょう。会社が解散した後に、債務超過が考えられる場合や、清算の処理をおこなっていく上において支障が大きいような場合には、通常の清算手続きから特別清算手続きに移行することになります。

さらに、株式会社を解散する場合、財産を処分し、債務の弁済が終えてもまだ財産が残っている場合は、株主にそれを分配することになります。そのような残余財産が確定すると、その日から1か月以内、または残余財産が分配された最後の日の前日までに、清算所得に関係する申告(確定申告等)など、税務上の手続が必要になることがあります。

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